川の情報誌 WEB版 amenbo  
目次 | 中徳から観月橋 | 自転車道とレトロな吊り橋 | 萩で知られる最明寺 | 昭和初期のガソリンカー | 河北八幡神社へ |
| トンネル・鉄橋 | 弓の名人の墓 | 大イチョウの神社からホタルの散策路へ | 美術館から道の駅へ | 塩江温泉と手打ちそば |
               
すこやか川散歩     香東川  
香東川    
香川県にある「香東川」。県都・高松市の中心部を流れ、その川の名に県名も由来しています。その源流域は木田郡三木町の大字奥山。讃岐山脈の高仙山に発し、高松市塩江町安原下付近で北に向きを変え、讃岐平野を潤して、やがて瀬戸内海へと注がれます。その流域の中から、今回は上流部にあたる塩江町エリアにある、サイクリングやウォーキングにピッタリのルート「ガソリン道」をご紹介します。最終地点には温泉も待っています。それでは、はりきって出発しましょう。
         
MAP
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中徳から観月橋
高松駅からコトデンバス塩江線または穴吹線に乗って約45分、中徳(ちゅうとく)というバス亭があります。このバス亭のすぐ前は高松市役所の塩江支所。ここをスタート地点に、ガソリン道に向かいます。支所の前は国道193号。塩江温泉方面に向かうとすぐに三差路があり、西植田方面の標識が出ます。この標識に従い左折。すぐに見えてくるのが「観月橋」。ホタルのレリーフが愛らしい橋を渡ります。もちろん、この下を流れるのが「香東川」です。
 
自転車道とレトロな吊り橋
香東川の河口付近の郷東橋から観月橋までは、およそ20キロ近く自転車道が整備されています。昭和55年に完成したこのルートは、すでに30年近くが流れ、通学路などとして、周辺の人々の暮らしになじんでいます。今回は、その自転車道路ではなく、ここから上流部に向かって進みますが、その前に、大規模自転車道路のルートを逆行。観月橋の先を左折して、最明寺を訪ねます。途中、レトロな吊り橋を発見。渡れば、遅れて揺れる不思議な感覚を味わえます。(最明寺まで往復約1.6キロ)
   
             
    観月橋   吊り橋    
             
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萩で知られる最明寺
ここは萩寺として有名で、9月中旬がみごろ。赤い花に包まれた境内で、萩まつりも開催されます。訪れたのは6月でしたが、ちらほらと花を付けた株もありました。寺の方に伺ったところ、「四季咲き」といって、二度花をつけるとのこと。現在、大師堂は工事中。見事な彫刻がなされたお堂は、2010年春に完成予定。境内には、句碑や山の水を集めた池もあり、その水は香東川へと流れ込んでいきます。
  最明寺    
             
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    ガソリン道  
昭和初期のガソリンカー
境内を出て、再び観月橋付近に戻り、「ガソリン道」と呼ばれるコースに入っていきます。最明寺へと曲がった反対側の道は、現在は先で行き止まり。そこで、さらに山手に進み、ゆるやかなカーブの手前から右手に入る道・市道「来栖・中村線」に入ります。来栖橋を渡り、民家の間を先に進みましょう。

さて、この道はなぜ「ガソリン道」と呼ばれるのでしょうか。正確な「ガソリン道」は、コトデンの仏生山駅付近から塩江温泉付近までの約16キロ。昭和3年(1928年)から昭和16年(1941年)まで、塩江温泉鉄道株式会社が“ガソリンカー”を走らせたことから、「ガソリン道」と呼ばれるようになりました。

川向こうを走る国道と比べ、行き交う車も少ないため、サイクリングロードやハイキングコースとして見直されている“ガソリン道”。森や小さな棚田、川の景色に癒やされながら、コースは続きます。
   
             
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河北八幡神社へ
ガソリン道に入って、間もなく右手に香東川が見えてきます。この辺りからが昔のガソリンカーの線路があった場所。川岸には花の姿や栗畑が見られ、川の中に生活道として使われている沈下橋(潜水橋)もあります。そんな沈下橋の一つに近づけば、川の流れと並行して、田んぼに水を引く用水路が。周辺の田畑は、香東川の水によって潤わされているのです。

やがて、道の左手に河北八幡神社が見えてきます。創建は天徳元年(957年)という歴史ある氏神様。現在は、参道の途中を横断するように骨川方面への市道が走ります。八幡神社の下から国道へと向かう橋もあり、先には立派な市営団地。川までの距離が近い橋は欄干がなく、この橋も大雨の時には水面下になる沈下橋です。
  香東川 河北八幡神社
   
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トンネル・鉄橋
河北八幡神社の先にあるのが短いトンネル。ガソリンカーが抜けるときも窓から壁に手が届きそうなトンネルで、歩いて行くには少し怖いような・・。トンネルを抜ければ新中村橋があり、渡ればこちらも国道へと続きます。橋の上から眺めると、川の真ん中に巨岩。香東川の上流部には、白い岩肌が特徴的な川原が多く見られます。奇岩巨岩の風景が美しいといわれてきた川の流れです。

新中村橋からガソリン道の先を見ると、川の中に橋桁だけが立っているのが見えます。かつてそこには鉄橋が架かっていました。その道沿いにさらに進めば、土塀の美しい道があり、田んぼの中にはビニールハウスが並んでいました。のぞけば、カーネーションのつぼみ。この辺りはカーネーションの産地としても有名で、西植田方面への道を進めばカーネーション団地と呼ばれる一画があり、新品種の開発なども行われています。

さらに先には、二つ目のトンネルと生活道路の沈下橋。ここも渡れば国道へと続きます。ガソリン道沿いには、川の中に再び鉄橋の橋桁が見えてきます。
弓の名人の墓
橋桁と川を横目に進めば、民家が建つ一画。ここを過ぎれば、市道東地線との分かれ道があります。標識が立つ三差路を右折して田んぼの中を進み、突き当たりを左折し、民家の角を道なりに右に曲がり、先の道に突き当たれば右折。山沿いの道を進みます。やがて右手に入る道があり、先にコミュニティセンターがあります。この道を進めばすぐにあるのが、「山田蔵人(くらんど)高清」の墓。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に生駒家の家来として参戦し、十三仏と涅槃仏の掛け軸を持ち帰ったとされ、それは最明寺の宝物となっているそうです。また高松市の西部・五色台にすんでいた牛鬼という怪物を退治したとも伝えられています。
 
「山田蔵人高清」の墓
           
    香東川      
             
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大イチョウの神社からホタルの散策路へ
再び山沿いの道に返って進めば、国道の手前にあるのが岩部(いわぶ)神社。境内の看板によれば、ふもとにあった社(やしろ)を山上に遷座したときに「岩部八幡宮」と呼ばれるようになったとのこと。たびたび増改築や整備を行い、明徳3年(1392年)にも修築が行われ、このときにイチョウの木が植えられました。そこで現在、境内には樹齢600年を超える大イチョウが2本そびえています。香川県指定天然記念物に指定された大イチョウは、岩部のシンボルです。

岩部神社の角を国道に出て左折。少し進めば、右手に川に向かって入る道があります。徒歩や自転車ならこちらへ。すぐに沈下橋を渡り、対岸の道を香東川に沿って進めば塩江美術館があります。この川沿いには遊歩道もあり、季節には水路の周囲にアジサイが咲き、夜にはホタルの飛び交う姿も見られます。

※すべての沈下橋は増水時には、通行止めになります。
また危険ですのでご注意ください。
  岩部神社
             
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    テイレギ  
美術館から道の駅へ
やがてモダンな建物が見えてくれば、そこが塩江美術館。周辺は「ホタルと文化の里」として整備され、グラウンドや野外ステージ、せせらぎや川辺に降りる石段もあり、盛夏には水遊びをする家族連れの姿も見られます。

塩江美術館を過ぎれば、塩江温泉の中心部まですぐ。塩江病院の傍らを通り、県道7号美馬塩江線に出て左折。反対側は先に内場ダム。左折してすぐに塩江橋を渡れば国道193号です。そこを右に進めば、道の駅「しおのえ」。ここは、地元の土産物が手に入るスポットで、店頭には新鮮な野菜などを置いた産直市も開かれています。
   
 
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塩江温泉と手打ちそば
道の駅から橋を渡って川の対岸に進めば、そこにあるのが“行基の湯”。奈良時代に塩江温泉を掘り当てたという名僧・行基にちなんで名付けられた公営の日帰り温泉。露天風呂もあり、どこか懐かしい雰囲気が漂う立ち寄り湯です。風呂上がりには、手打ちそばの店や休日にはマッサージや竹細工の店もオープンします。最近、足湯の施設もできました(取材の日は中止中)。橋の下には、河原に降りていく道もあり、川遊びを楽しむ人の姿も見られます。

この温泉橋から上流200メートルまでの香東川河床は、“塩江の和泉層群基低礫岩”として香川県の自然記念物に指定され、独特の風景をつくり出しています。季節には、カジカの鳴く声も聞こえる塩江温泉。ウォーキングやサイクリングの疲れをのんびり癒やしましょう。



【行基の湯】
住所 高松市塩江町安原上東37-1
電話 087-893-1126
営業時間 午前10時〜午後10時
定休日 毎月第1・第3月曜日
入浴料金 一般 430円
交通アクセス 道の駅の前が塩江のバスセンター。ここからJR高松駅までバスで約1時間(1日14本)です。中徳までは約10分。ちなみに徳島県の穴吹までは、バスで約40分(1日2本)です。車ならば、高松空港まで約15分。高松中央IC、高松西IC、脇町ICから約30分。
所要時間 中徳バス亭から行基の湯まで今回のコースは約7キロ。※所要時間:約1時間50分程度
  河原    
 
手打ちそば
 
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