徳島県を流れる「勝浦川」は、雲早山・高丸山を源流とし、上勝町・勝浦町・小松島市・徳島市を流れて紀伊水道に注ぐ全長49.6kmの二級河川です。清流として知られる上流域では、鮎やアメゴなどの渓流釣りが楽しめます。今回は、この勝浦川上流域(上勝町)の見どころを紹介します。川沿いにある散策スポットだけでなく、川から少し離れた場所にある見どころもピックアップしています。県道16号沿いは路線バスが走っていますが、散策は車での移動が便利です。
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正木ダムは、勝浦川流域の治水の要となる多目的ダムです。洪水調節、河川環境の保全、かんがい用水、工業用水を供給すると共に、発電を行っています。このダム湖は別名「美愁湖」と呼ばれていて、湖面には四季折々の自然が映り出されます。また、ダム湖周辺は、「ヤッホー」と大声で叫ぶと見事なやまびこが帰ってくる「ヤッホーポイント」が随所にあります。テレビや雑誌で、たびたび紹介されています。照れずに大きな声で「ヤッホー!」と叫んでみましょう。
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県道16号沿い、傍示トンネルと日浦トンネルの間に「いっきゅう茶屋」があります。1階の直売所では、近くの農家で採れた野菜と果実、手作りの寿司やお餅、特産品の上勝晩茶(阿波番茶)や晩茶アイスなどが販売されています。その特産品を手に入れようと、徳島市内からわざわざ足を伸ばすファンがいます。2階は、正木ダム湖を臨む喫茶店。ドライバーのよき休憩ポイントになっています。
【いっきゅう茶屋】
営業時間:8:30〜16:30
定休日:火曜日
TEL:0885-46-0198
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県道16号沿い、勝浦川のほとりにある「月ヶ谷温泉村キャンプ場」。オートキャンプサイトとコテージ、バーベキューハウスがあり、テントや鉄板などをレンタルできるので、本格的な装備がなくてもキャンプができます。キャンプ場からは、階段で勝浦川に降りられます。このあたりは水の流れも緩やかで、水遊びをするには絶好のポイントです。キャンプ場では、アメゴのつかみ取りを、冬季とお盆を除いて受け付けています。
【月ヶ谷温泉村キャンプ場】
営業時間:10:00〜22:00
アメゴつかみ取り:1匹250円・10匹以上で受付
定休日:第2水曜日
TEL:0885-46-0346(要予約)
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月ヶ谷温泉村キャンプ場から降りた水遊びスポットには、木の橋がかかっています。渡れば、対岸の遊歩道に出ます。行き着く先が「月ヶ谷温泉・月の宿」。源泉は1.5km離れた霊山・月ヶ谷にあり、岩の亀裂から自然湧出する冷泉をパイプ輸送しています。ここでは、入浴だけでなく、宿泊や食事もできます。清流ならではの鮎の塩焼きやアメゴの姿寿司が味わえます。勝浦川を眺めながら、温泉で疲れを癒す人で賑わっています。
【月ヶ谷温泉・月の宿】
営業時間:10:00〜20:00(受付終了)
定休日:第2水曜日
TEL:0885-46-0203
料金:
大人500円 中学生400円
小学生300円 3才以上200円
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月ヶ谷温泉の西側、歩いて5分ほどの場所に、上勝町の住民とインドネシアのアーティスト、エコ・プラウォト氏が一緒になって制作した作品「タイムブリッジ」があります。トンネルのようにも、東屋のようにも見える不思議な空間の中には、テーブルとイスが配置されており、ここに座ると、住民が壁に書いたメッセージが目に入ってきます。水のない場所に掛けられたこの橋が、タイムブリッジと名付けられた意味を考えさせられます。
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旧上勝郵便局のレトロな建物を利用した「彩工房」は、季節の花を押し花にするクラフトづくりが体験できます。予約は必要ですが、押し花やハガキ、コースターなど必要な素材は揃っているので、手ぶらで大丈夫です。ちなみに、この建物のすぐ横に掛かる橋の上からは、釣り人の姿が見えます。でも、この釣り人、全然動いていません。よく見てみると…釣り人姿のカカシです。勝浦川で釣りを楽しむ珍しいカカシを、ぜひ見つけてください。
【彩工房】
TEL:0885-46-0812(予約制)
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上勝町役場から、車で10分ほど北西へ、ゆるやかな坂道を登ると、「久保の大杉」があります。この杉は、高さ60m、幹囲8.8mの巨木で、樹齢は1000年を超えると言われています。山の神、長寿の神にして、在所の人たちの信仰を集めています。森の中ではなく人里の近くにあり、すぐ近くまで車で移動できます。
上勝町は、平野が少ないことから、傾斜地を階段状に耕作した棚田が点在しています。「日本の棚田百選」に選定された樫原地区の棚田をはじめ、上勝町の棚田は美しいことで有名です。樫原の棚田は、勝浦川に掛かる横峯橋から旭川の上流へ向かって車で20分ほどかかりますが、横峯橋から南へ車で5分ほどの場所には、「横峰の棚田」があります。日本の原風景を感じさせる魅力があり、アマチュアカメラマンの撮影スポットになっています。
勝浦川沿いを、上流に向かうと、やがて「剣山スーパー林道」に入ります。「百間の滝」周辺までは舗装されていますが、それ以降はオフローダーの間では知らない人がいないと言われるダートコースが続き、全国各地からここを走るためにだけ訪れる人もいるほどです。上勝町の起点から高の瀬峡まで全長87.8km、日本最長の林道です。林道入り口にある「起点」の看板は、ロケーションもよく、記念撮影のスポットになっています。
勝浦川沿いを伸びる剣山スーパー林道。その上勝町の起点から車で5分ほど走ると、赤い鉄橋に出ます。この橋を渡ると林道沿いから民家が消えます。川は細くなり、川原には巨石が目立つようになってきます。勝浦川は「殿川内渓谷」へと姿を変えます。清らかな渓流にそって木々が色づく紅葉の名所として知られており、渓流釣りの穴場でもあります。
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剣山スーパー林道の起点から車で約10分ほどで「百間の滝」に到着。林道の山側の看板が目印です。ここから、200メートルほど山道(遊歩道)を歩くと滝に到着します。山の中に突然現れる滝は、周りの自然と調和した実に美しい姿です。見に来るのにふさわしい感動を与えてくれます。遊歩道の途中に岐路があり、滝の近くに行く道と、滝から少し遠ざかる道にわかれます。滝に近づくと流れ落ちる水の迫力を音に圧倒されます。滝から少し離れたポイントは、撮影に最適です。
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上勝町は人口わずか2,000人足らずの過疎化と高齢化の進んだ町ですが、全国有数の地域活性型農商工連携のモデルの町として知られています。
そのモデルとなっているのは、女性や高齢者でも取り組める地域の資源を活かした「葉っぱビジネス」です。日本料理を美しく彩る葉っぱ(つまもの)を軸に販売を展開しています。
ビジネスの主役は“おばあちゃん”。四季折々の葉っぱに囲まれ、毎日元気に彩(いろどり)の仕事に精を出しています。