新町川は、徳島県徳島市を流れる総延長6.9kmの吉野川水系の一級河川。支川の助任川、田宮川、佐古川、沖洲川などを合わせて徳島市の中心部に三角州を形成しています。総延長の短い川ですが、川沿いには徳島市街地に点在する多くの見どころがあります。その中の幾つかのスポットに立ち寄りながら、新町川を巡ります。
新町川河口付近のランドマークは、紅白に塗装された2本の塔が印象的な「末広大橋」、1975年の完成当時、日本最長スパン250mを誇る斜張橋として知られ、観光スポットの一つになっていました。
「末広大橋」近くにある「川の停留所 イオンモール前(徳島市南末広桟橋)」は、船の乗り降りができる浮桟橋で、希望者は10時から17時までの間であれば両国橋北詰の周遊船乗り場との間で送迎も可能(片道8分)です。(問い合わせ 新町川を守る会中村理事長 090-3783-2084)
「末広大橋」下から川沿いに続く「徳島みなと公園」は、約1.3kmに渡って遊歩道が整備されています。
末広大橋 |
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川の停留所 イオンモール前 |
徳島みなと公園 |
「徳島みなと公園」を眉山に向かって進めば、対岸に見えてくるのが県庁前の「ケンチョピア」。全国的にも珍しい、市街地の中心部にあるヨットハーバーです。「県庁」と「ピア(桟橋)」を合わせた造語「ケンチョピア」の愛称で親しまれ、「四国のみずべ八十八カ所」、「とくしま市民遺産」に選定されています。
![]() ケンチョピア |
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「ケンチョピア」からかちどき橋を渡り、新町川沿いに進むと富田橋に至ります。橋の「新町川公園こども広場」に続く「徳島こども交通公園」は、自転車の安全走行や技能走行の練習ができるという珍しい公園で、交通イベントも開催されています。広いスペースを生かし、阿波踊り期間中は南内町演舞場となります。映画「眉山」では、本格的なセットが組まれ8月の阿波踊りが再現されました。
徳島こども交通公園 |
「徳島こども交通公園」を横切れば両国橋、その先にあるのが「新町川水際公園」。県と市の合同事業として、平成元年に完成した水の都徳島のシンボルです。「水の郷百選」、「四国のみずべ八十八カ所」に選ばれています。
休憩所となる藍蔵をイメージしたシェルター、青石と御影石を組みあわせたテラスやバルコニーがあり、川風を楽しみ憩いのひとときを過ごせます。
夜になるとLEDによる幻想的な光の演出が行われます。点灯は日没から午後10時まで、1670万色にもおよぶ多彩な色や動きで、阿波おどりや眉山といった徳島を連想させるもの、季節を連想させるのもに星座や虹などを織り交ぜて、人々の目を楽しませてくれます。
空の水族館のモニュメントとふれあい橋 |
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ふれあい橋から浮桟橋をのぞむ |
新町川水際公園と浮桟橋 |
「新町川水際公園」の浮桟橋からは、「ひょうたん島クルーズ」が出港します。”ひょうたん島”とは、新町川と助任川に囲まれた周囲約6kmの中洲のこと。ひょうたんのような形をしている島の周囲を約25分で一周します。沿岸には、水際公園や徳島中央公園の緑と花の風景が続き、船には屋根がなく、身をかがめて合計22本もの橋をくぐるというスリルも味わえます。
●ひょうたん島クルーズ
問い合わせ先:新町川を守る会
☎090-3783-2084
定休日:毎日運行(悪天候の場合は中止)
営業時間:通年(7・8月以外)11時から40分毎(最終便15時40分出航)/7・8月は11時から40分毎(最終便19時40分出航)/8月12日〜15日 9時〜22時(15分毎に出航)/10人くらい集まれば、臨時で出港することもあります。
ふれあい橋をくぐる |
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青石を貼った河岸の石垣 |
橋をくぐるスリルを味わえる |
城山近くの河岸 |
助任川と沖洲川の合流地点付近 |
蜂須賀桜の並木 |
四国八十八景に選ばれた |
クルーズから浮桟橋に帰ってくる |
新町川水際公園と隣接する「藍場浜公園」。4月には「はな・はる・フェスタ」、8月には阿波踊りの演舞場、秋には「ふるさとカーニバル阿波の狸まつり」の会場となります。
公園の西端に見える白い建物が「あわぎんホール(徳島郷土文化会館)」。音楽や演劇などのイベントホールと全国でも類をみない所蔵数を誇るという「阿波木偶資料館」があります。
●木偶資料館
休館日:12月29日から1月3日/隔月1回臨時休館日あり。
開館時間:9時30分〜17時(入館は16時30分まで)。
問い合わせ:あわぎんホール
☎088-622-8121
あわぎんホール |
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阿波木偶資料館 |
藍場浜公園 |
藍場浜公園と新町川水際公園の間にある新町橋を渡れば「しんまちボードウォーク」。両国橋に向かって木の遊歩道が続き、週末にはパラソルショップが並び、毎月最終日曜日には「とくしまマルシェ」が開催されます。新町橋のたもとには、野外ステージもあり、時には川を背景にコンサートが開かれます。
![]() しんまちボードウォーク |
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1階は徳島県物産協会が運営する「あるでよ徳島」、徳島県の特産品や工芸品を手に入れることができます。
2階は「阿波おどりホール」、専属連や有名連による阿波おどりの公演があります。阿波おどりのレクチャーや飛び入りで踊るコーナーもあり、一年を通じて阿波おどりを楽しむことができます。3階は、阿波おどりの歴史や文化を学ぶことができる「阿波おどりミュージアム」。「阿波おどり3Dシアター」では迫力の立体映像で阿波おどりを体感できます。
5階は「眉山ロープウェイ山麓駅」、所要時間約6分で眉山山頂に至ります。
●あるでよ徳島
休館日:12月28日〜1月1日/6月、10月、2月の第2水曜日(祝日の場合は翌日)
営業時間:9時〜21時(12月21日〜27日、1月2日〜10日は18時まで)
問い合わせ:公益社団法人徳島県物産協会
☎088-622-8231
●阿波おどりミュージアム
開館時間:9時〜17時
●阿波おどり公演:
昼のおどり 11時〜・14時〜・15時〜・16時〜
夜のおどり 20時〜
問い合わせ:阿波おどり会館
☎088-611-1611
●眉山ロープウェイ
運転時間:4月〜10月は9時〜21時、11月〜3月は9時〜17時30分。※8月12日〜15日は22時まで。
問い合わせ先:☎088-652-3617
![]() 阿波おどりミュージアム |
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阿波おどりホール |
![]() 新町川を背景に眉山ロープウェイ |
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あるでよ徳島で味わえる「滝の焼餅」 |
「徳島中央公園」は、阿波・淡路両国25万7千石の蜂須賀家の居城であった徳島城跡に造られ、明治43年に開設以来、市民に親しまれてきました。市制百周年を記念して平成元年に復元された「鷺の門」をはじめ、城の内堀「堀川」や「数寄屋橋」、正面出入り口の「下乗橋」、縄文土器や弥生土器が出土した「城山の貝塚」と、歴史散策にもうってつけです。
城内の「徳島城博物館」には、徳島藩と蜂須賀公にまつわる歴史資料や美術工芸品を展示。ミュージアムショップ(10時〜16時)では、徳島藩士の奥方が書き残したレシピを再現した江戸時代のスイーツ「徳島城殿様かすていら」を販売しています。
資料館に続く庭は国指定の名勝「旧徳島城表御殿庭園」は、枯山水と築山泉水庭がある回遊式庭園です。
●徳島城博物館
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)・祝日の翌日(日曜・祝日の場合は翌日)・年末年始(12月28日から1月2日)・館内燻蒸作業(6月6日から9日)・特別展開催準備(10月20日、1月10から12日)
開館時間:9時30分〜17時(入館は16時30分まで)/庭園は9時から開園
問い合わせ先:☎088-656-2525
徳島城博物館 |
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博物館内の刀剣の展示 |
徳島城殿様かすていら |
旧徳島城表御殿庭園 |
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園内マップ |
「三ツ合橋」は、新町川と助任川の合流地点に架かる全国でも珍しいY地形の橋。藩政時代には橋はなく渡し船で行き来していました。大正時代には通行料を取る賃取(ちんとり)橋が2本架かっていました。1933(昭和8)年に三つのコンクリートの橋となり、1975(昭和50)年に都市計画街路事業の一環として完成しました。
ひょうたん島クルーズでは、この橋を川面から眺めることができます。
![]() 新町川と助任川の合流地点にある三ツ合橋 |
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ひょうたん島クルーズの船から眺めた三ツ合橋 |
徳島県一の広さを誇る河川敷運動公園。24万㎡の広さを誇り野球場やソフトボール場、サッカー場、ラグビー場、多目的広場が整備されています。「新町川を守る会」が主催する吉野川フェスティバルの会場としても知られ、毎年7月下旬には特設ステージで阿波踊りやダンスショーが行われ、夜には花火も打ち上がります。
問い合わせ先:吉野川南岸管理事務所
☎088-654-7726
徳島市民吉野川運動広場と吉野川橋 |
1916(大正5)年に竣工した「新町樋門」。洪水を防ぎ、水運を確保するために設けられました。1979(昭和54)年度に浄化ポンプ場が完成し、新たに新町川の浄化を目的とした用水の導入口としての役割が加わりました。現在の「新町樋門」は、1990(平成2)年度に完成しました。
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新町樋門 |
新町樋門から吉野川を望む |