海部川は、徳島県南部の海部郡海陽町を流れる全長(幹川流路延長)36.3km、流域面積約206k㎡、徳島県有数の清 流を誇る二級河川です。高知県境に近い海部山地の湯桶丸東面に源を発し、四国一と称される大滝「轟の滝」を有する王余魚谷川やホタルやオオウナギで知られる母川などの支川を集めて太平洋に注いでいます。今回は、「海部ポイント」と呼ばれる日本有数のサーフスポットがある河口域から、林野庁の「水源の森百選」にも選ばれている上流域までの見どころを紹介します。
海部川の河口にある「鞆奥漁港海浜公園」は、駐車場やトイレ、シャワー施設が完備され、釣り人やサーフィンを楽しむ人、眺める人たちに人気の公園です。海部川の河口エリアは、チューブと呼ばれる巻くようにうねる大波が押し寄せることから、サーファーたちに「カイフ・ポイント」と呼ばれており、ベテランサーファーたちの見事な技を見ることができます。
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海部川の河口付近の「Rex Café」は、海を望むカフェとして知られています。地元の野菜を使ったタコライスやロコモコ、ピザなどのランチメニューがあり、テイクアウトも可能です。テラス席は、ペット同伴でも利用できます。
【Rex Café】
●定休日:毎週月・火・水曜
●営業時間:11時~16時
●問い合わせ:☎0884-73-2963
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「海底少年海部本店」は、海部川河口付近のダイビングスクールです。全国で最も上達率が高く、リピーターが多いダイビングスクールとして、ダイビングの世界団体BSACより全国最優秀ダイビングスクールの称号を受賞しています。美しい海を堪能する体験ダイビングプランは、海陽町のふるさと納税の返礼品としても選ばれています。サーフボードよりも少し大きめの板の上に立ち、パドルを漕ぎながら進むスタンドアップパドルボード(SUP)で海部川を楽しむツアーもあります。
【海底少年海部本店】
●定休日:毎週火曜
●営業時間:10時~20時(月・水・木・金曜)/9時~20時(土・日曜)
●問い合わせ:☎0884-73-4173
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「宝来堂」は、地元の老舗洋菓子店です。人気のお菓子は、海陽町のふるさと納税品にも選ばれています。希少価値の高い阿波尾鶏たまごと阿波和三盆糖で作る「阿波尾鶏たまごと和三盆のプリン」は、2019年度全国商工会連合会会長賞を、「DMV組み立てモナカ」は、日本ギフト大賞2022都道府県賞(徳島賞)を受賞しました。車両を型取ったモナカをプラモデルのように組み立てて食します。「宝来堂」から西に600m行くとDMVが停車する海部駅に辿り着きます。北に100m行くと海部川に架かる海部川橋が見えます。海部川には下流から「海部」の名が付く海部川橋、海部大橋、海部橋の三つの橋が架かっています。
【宝来堂】
●定休日:不定休
●営業時間:9時~19時
●問い合わせ:☎0884-73-0510
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「阿波海南文化村」は、テーマに応じた全6施設(博物館、いきいき館、工芸館、三幸館、開船展示館、文化館)が併設しています。「博物館」では、郷土の文化遺産を展示する常設展があり、美術刀剣として名の知られた海部刀や海部川河口の大里の地で発見された大里出土銭、大里古墳のジオラマなどが展示されています。「工芸館」では、工芸、染色、陶芸、木工などのさまざまな体験を行うことができます。「三幸館」では、特製半田そうめんやソフトクリームなどを味わうことができ、地元の物産やお土産も手に入ります。「いきいき館」は、子供から高齢者まで体験や交流ができる地域の憩いの場になっています。「開船展示館」は、浅川天神社の関船が展示されています。「文化館」は利用目的にあった多目的ホールです。「阿波海南文化村」は、阿波海南駅から約1.2kmのところにあり、DMV(デュアルモードビークル)の始発停留所や専用アプリで借りることができるシェアサイクルP!PPA(ピッパ)の専用駐輪ポートもあります。
【阿波海南文化村】
●定休日:月曜(月曜が祝日の場合、その翌日)
●営業時間:8時30分~17時15分
●問い合わせ:☎0884-73-3100
※注)館によって開館時間が異なります。
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海部川河口を南端として北に広がる「大里松原海岸」は、1987年(昭和62年)に社団法人日本の松の緑を守る会によって「日本の白砂青松100選」に選定されています。全長4kmにおよぶ砂浜は、ウミガメの産卵地としても有名です。江戸時代中期からの歴史がある松原には約10万本の松の木が連なり、今も地域の人々の手で植林が続けられています。
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海部川の支川母川上流にある「浪切不動尊」は、数々の大師伝説に彩られています。弘法大師が不動の森に差し掛かった時、滝の流れる崖から小山ほどもある岩が落ちそうになっているのを見て、岩の前に杉の箸を2本立てると、後に芽吹き2本の大杉になったということです。この杉は海から出た灯明が大杉の梢へ飛んできて7晩光ったことから灯明杉と呼ばれていま す。この杉の奥にまつられている不動尊にお参りしようとする際、悪い心を持っている人は杉の間に挟まって通れなくなると言われています。
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海陽町指定遺跡・吉田城跡のふもとに位置する曹洞宗真光山「城満寺」は、1291(正応4)年開山の、曹洞宗では全国9番目に古い寺院で、四国最古の禅寺です。1575(天正3)年に長宗我部元親の進攻により戦火に遭って焼失し、長く廃寺となっていましたが、1925(大正14)年に小堂が復興し、本堂、座禅堂が建設されたのは平成の世のことです。城満寺が付近の文化に及ぼした影響は大きく、付近には四国では数少ない曹洞宗の寺院が散在しています。誰でも参加できる日曜座禅会が開かれるなど、禅寺の修行を体験できます。
●問い合わせ:☎0884-73-2093(9時〜16時)
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海部川は環境省の調査により全国で最も水のきれいな36本の一つに認定されています。夏には海部川のあちこちで水遊びを楽しむ姿が多く見られ、そのスポットの一つが海部橋周辺の河原です。「海部橋」は、現在は緑色に塗り替えられていますが、当初は赤色だったため、地元では通称「赤橋」と呼ばれています。河原に下りると、水量も流れの速さも水遊びには最適の場所です。
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海部川の支川、王余魚谷川の静謐な空気が漂う「轟神社」は、安土桃山時代の1591(天正19)年、「轟の滝」に祈願して霊験を得たことから創建したと伝えられています。「轟の滝」を始めとした「轟九十九滝」を合わせ持つ広い境内は「日本百景」に選定されています。秋季例大祭(11月13日)に行われる神輿の滝つぼ入りは、勇壮な奇祭として全国に知られています。
●問い合わせ:☎0884-75-2216
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爆音を耳にしながら「轟本瀧神社」と書かれた朱塗りの鳥居をくぐると、落差58mの四国一の大滝「轟の滝」が眼前に迫ります。「轟の滝」は「本瀧」とも呼ばれ、二分された滝口から流れ落ちる豊かな水量と清冽さから「日本の滝100選」に選ばれています。
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轟の滝の上流には、趣の異なる滝が連続し、轟の滝も含め総称して「轟九十九滝」と呼ばれています。上流域の鍋割りの滝までは約1,500mあります。遊歩道が整備され、往復2時間もあればゆっくりと散策を楽しめます。
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