川の情報誌 WEB版 amenbo

目次| ① 竹林寺| ② 高知県立牧野植物園| ③ 山内神社| ④ 朝倉堰|
⑤ 宗安禅寺| ⑥ 宗安寺キャンプ場| ⑦ 鏡ダム・土佐鏡湖公園| ⑧ 平家の滝|
⑨ 鏡吉原ふれあいの里| ⑩ 樽の滝| ⑪ オーベルジュ土佐山| ⑫ 大穴峡|
⑬ 桑尾沈下橋| ⑭ 鏡川源流憩いの広場| ⑮ 菖蒲洞|

すこやか川散歩

海部川

 鏡川は、高知県の県都・高知市を流れる全長(幹川流路延長)31.1㎞、流域面積170㎢の二級河川です。高知市土佐山菖蒲に位置する細藪山に源を発し、支川を集めながら西方向から南方向へ流下し、さらに高知市朝倉から東に流れを変え、高知市街を貫流して浦戸湾に注いでいます。その昔、「潮江川」と呼ばれていましたが、江戸時代に土佐藩5代藩主・山内豊房が「我影を映すこと鏡の如し」とその美しさ詠んだことが「鏡川」の由来とされています。鏡川を舞台とした高知市出身の芥川賞作家・安岡章太郎の同名小説『鏡川』は、第27回(平成12年度)大佛次郎賞(朝日新聞主催文学賞)を受賞しています。源流域から河口までの鏡川流域全体で清流保全の取り組みを進めており、環境省の「平成の名水百選」に選定されています。今回は、鏡川の河口を見下ろす五台山から源流域までの立ち寄りスポットをご紹介します。


マップ
マップ

① 竹林寺

 鏡川を見下ろす五台山山麓の「竹林寺」は、奈良時代の高僧・行基の開創とされています。行基は唐の五台山に似た山容をこの地に見つけ、自ら文殊菩薩像を彫り、山上に本堂を建てて安置したと言われています。弘法大師がこの地で修業を行い、堂塔を修復したことから、後に四国霊場第31番札所に定められました。本堂は、江戸時代前期の1644(寛永21)年、土佐2代藩主・山内忠義により造営された国の重要文化財です。祀られている本尊は、日本三大文殊の一つに数えられています。通常開帳は50年に1度ですが、2023(令和5)年の開創1300年を記念して特別公開されました。次回は2064年になります。禅の高僧・無窓国師の作と伝えられる庭は、国の指定名勝となっており、宝物館とともに拝観(有料)することができます。竹林寺までの車道は一方通行で、途中にある五台山公園展望駐車場から少し歩けば、2022(令和4)年9月に新設された木製の「展望テラス」から鏡川河口付近の眺望を楽しむことができます。

 

【竹林寺】

●定休日:年中無休
●営業時間: 8時~17時(境内参拝)
名勝庭園・宝物館:8時30分~17時
●問い合わせ:☎088-882-3085

 

【五台山公園】

●営業時間:24時間(入園自由)
●問い合わせ:☎088-823-9853
(高知県 公園下水道課)

 

竹林寺から約500m

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② 高知県立牧野植物園

 「高知県立牧野植物園」は、高知県が生んだ日本植物分類学の父・牧野富太郎の業績を顕彰するため、1958(昭和33)年に開園しました。約8haの広大な園地では、牧野博士ゆかりの野生植物や園芸植物など3,000種類以上が植栽され、自然に近い状態で四季折々の花々を見ることができます。園内ではエレベーターやスロープも整備されています。「牧野富太郎記念館本館」は、牧野博士の蔵書や遺品など、約6万点を収蔵する牧野文庫(研究調査のみ利用可)をはじめ、図書室やカフェ、オリジナルグッズが並ぶショップも併設されています。「牧野富太郎記念館展示館」は、牧野富太郎の生涯とその業績を示す記録や写真が常設展示されています。園内には、開園50周年で造園された回遊式水景庭園の「50周年記念庭園」や展望台がある「こんこん山広場」などがあります。2023(令和5)年5月20日にリニューアルオープンした「植物研究交流センター」は、キッズラボプログラム(予約制)などのイベントが開催されています。3階にはショップや眺望抜群のレストラン「C.L.GARDEN」が併設されています。園内散策の合間に、ランチやカフェでおくつろぎください。

 

【高知県立牧野植物園】

●休園日:年末年始(12月27日~1月1日)
  ※メンテナンス休園日があります
●開園時間:9時~17時(最終入園16時30分)
●問い合わせ:☎088-882-2601

 

【レストラン C.L.GARDEN】

●場所:植物研究交流センター3階
●営業時間:9時~17時
(ランチ11時~15時)
●問い合わせ:☎088-802-6951
 ※中門よりお入りください。

 

高知県立牧野植物園から約7.7㎞

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③ 山内神社

 高知城から約600m、鏡川沿いの「山内神社」は、土佐藩10代藩主・山内豊策時代に、城内に建てられた藤並神社を始めとします。1871(明治4)年、藤並神社の御旅所であった現在地に社殿を造り、1971(昭和7)年には国家のために功績があった人を祀った別格宮幣社を新たに造営し、創建しましたが戦火によって焼失したため、現在の「山内神社」社殿は1970(昭和45)年に再建され、藤並神社と合祀して歴代藩主と初代夫人を祀っています。境内には社殿に向かい合う形で土佐第15代藩主・山内容堂公の銅像が座しています。神社すぐ傍の旅館「三翠園」敷地内には、国指定重要文化財「旧山内家下屋敷長屋展示館」もあり、ひとときの歴史探訪を楽しむことができます。「三翠園」にある天然温泉施設「湯殿 水哉閣」では、日帰り入浴ができます。山内神社と隣り合う河川敷「鏡川みどりの広場」は、市民の憩いの場として親しまれており、川沿いは散歩コースにもなっています。

 

【山内神社】

●問い合わせ:☎088-872-3333

 

【旧山内家下屋敷長屋展示館】

●定休日:年中無休(※臨時休館有)
●利用時間:7時~17時(無料)
●問い合わせ:☎088-872-7277
(高知市 民権・文化財課)

 

【三翠園】

●入浴時間:10時~16時(日帰り温泉)
●受付時間:9時~18時
●問い合わせ:☎088-822-0138

 

山内神社から約6.2㎞

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④ 朝倉堰

 「朝倉堰」は、用水路が四方八方に伸びており、地域の農業用水や水道用水の取水ために利用されています。「朝倉堰」は、鏡川下流域にある五つの堰の内、最も上流にあるため、遡上するアユなどにとって最後の難所となりますが、「魚道」が造られており、運がよければ堰の真下に遡上するアユを見ることができます。

 

朝倉堰から約1㎞

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⑤ 宗安禅寺

 「宗安禅寺」は、四国三十六不動尊霊場第17番札所です。鏡川上流から洪水で流されてきた不動尊を川の畔の現在地にまつ祀ったとの伝承から、「川上不動」とも呼ばれています。平安時代の807(大同2)年の開基といわれていますが、正式に「宗安禅寺」が成立したのは、鎌倉時代末期のことです。明治初頭の廃仏毀釈により廃寺となり、1880(明治13)年、臨済宗の寺として再興され、本尊の不動明王坐像と左右脇侍の持国天・増長天像は、国の重要文化財に指定されています。

 

宗安禅寺から約550m

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⑥ 宗安寺キャンプ場

 「宗安寺キャンプ場」は、鏡川の河原を利用した無料のキャンプ場です。市街地から近く、普段の川の流れは穏やかで、夏には水遊びやバーベキューを楽しむ多くの人たちでにぎわいます。河原まで車で下りることができ、簡易トイレも設置されています。

 

宗安寺キャンプ場から約4.4㎞

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⑦ 鏡ダム・土佐鏡湖公園

 「鏡ダム」は、高知市民を洪水から守るための治水機能と水道・工業用水を供給するための利水機能、ダムの放流水を利用した発電を行う多目的ダムです。春の花見時期とゴールデンウィーク、夏の「水の週間」とお盆、年末年始にはライトアップにより、迫力のある姿が浮かび上がります。ダム管理事務所で、ダム愛好家やカードコレクターに人気のダムカード(配布時間:8時30分~17時15分・土日祝含)を入手することができます。「土佐鏡湖公園」は、ダム周辺の公園です。ダムの堰堤付近(鏡川右岸)にダム湖を見渡せる東屋やベンチがあり、対岸(左岸)にあるテニスコート2面も利用できます(申込不要)。ダム湖に突き出た「中ノ崎」は、遊歩道が整備されていて、周辺には桜の木が多く植えられており、花見シーズンには多くの人でにぎわいます。野鳥の宝庫で、バードウオッチングにもおすすめです。

 

土佐鏡湖公園から約7.1㎞

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⑧ 平家の滝

 「平家の滝」は、鏡川の支川・的渕川上流にある落差約30mの2段の滝です。上段の大きな滝壺は深々と水をたたえており、平家の落人48人がこの滝壺に身を投げたという悲話から「平家の滝」と呼ばれています。滝のそばには48人の霊を祀る貴船大明神があります。高知市中心地から車で約40分、上段の滝は、下段の滝から山道を約15分ほど歩いた場所にあります。

 

平家の滝から約13.2㎞

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⑨ 鏡吉原ふれあいの里

 「鏡吉原ふれあいの里」は、鏡川の支川・吉原川が流れる自然豊かな山里です。無料のキャンプ施設と、対岸には「ふれあい交流館」があります。交流館の利用には、事前の申し込みが必要です。キャンプ施設は6区画のテントスペースがあり、申し込み不要で先着順に利用できます。炊事棟、公衆トイレが整備されています。高知市中心地から車で約40分、キャンプ場までの道は狭く、車がすれ違えない場所もありますので、運転には気をつけてください。

 

【ふれあい交流館】

●休館日:年末年始(12月28日~1月4日)
 ※臨時休館あり
●利用時間:8時30分~22時
●問い合わせ:☎088-896-2001
 高知市 鏡地域振興課
(平日8時30分~17時15分)

 

鏡吉原ふれあいの里から約14.7㎞

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⑩ 樽の滝

 「樽の滝」は、鏡川の支川・穴川川の最上流部に位置する落差約65mの2段の滝で、大雨が降ると樽を揺るがすような音がすることから、その名が付いたといわれています。滝壺には龍がすんでいたという伝説から龍神宮が祀られています。高知市中心地から車で約30分、車止めとなる駐車場から徒歩約10分で「滝壺」に到着します。春の山桜、秋の紅葉は見事で、冬には滝の水が凍ることもあるようです。

 

樽の滝から約7.2㎞

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⑪ オーベルジュ土佐山

 鏡川の支川・東川川沿いにある「オーベルジュ土佐山」は、高知市の奥座敷・土佐山の自然に抱かれた食を楽しむ宿泊施設です。「オーベルジュ」は、ただ泊まるだけでなく、食事の提供の延長線上に滞在のおもてなしがあり、地産地消の恵みを味わい、至福のひとときを過ごすことができます。宿泊者は、1週間前までの予約で高知城近くのオリエントホテル高知から無料送迎バス(1日1便15時発)を利用することも可能です。日帰り温泉もあり、土・日・祝日限定ですが2日前までの予約でランチを楽しむこともできます。高知市中心地から車で約30分です。

 

【オーベルジュ土佐山】

●問い合わせ:☎088-850-6911
●日帰り温泉:10時30分~20時30分
 (入館は20時まで)毎週火曜は15時から
●ランチ(土日祝日限定の予約制):
 11時30分~13時(入館は12時30分まで)

 

オーベルジュ土佐山から約3.9㎞

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⑫ 大穴峡

 「大穴峡」は、高さ約100mの絶壁に、直径5m、奥行き10mほどの大穴があることから、この名前がついています。高知市中心地から車で約25分の距離にあり、対岸の河原はキャンプに絶好のポイントにもなっており、夏には川遊びを楽しむ人でにぎわいます。春は河岸の桜、秋は紅葉に彩られ、その季節ごとに違った表情を見せてくれます。道路沿いには公衆トイレも設置されていますが、駐車スペースが少ないのでご注意ください。

 

大穴峡から約1.7㎞

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⑬ 桑尾沈下橋

 「桑尾沈下橋」は、鏡川上流に架かる沈下橋で、欄干がありません。洪水で橋が水中に没することを想定し、水の抵抗を受けにくくし、欄干があることで流木がひっかかり、水の流れが悪くなることを防ぐためです。橋桁はコンクリートや石で何度も補修した跡がうかがえ、地元の人の手によって守られてきた暮らしを支える橋であることが分かります。高知市中心地から車で約30分、アユ釣りのシーズンになると、解禁日を待ちかねた釣りマニアの姿が多く見られ、運がよければ水中眼鏡にモリを持って魚を追う光景に出会うことができます。

 

桑尾沈下橋から約2.6㎞

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⑭ 鏡川源流憩いの広場

 「鏡川源流憩いの広場」は、鏡川の支川・高川川の源流域にある無料のキャンプ場です。高知市中心地から車で約30分、キャンプ場まで車の乗り入れができるので、荷物の搬入が楽で夏のキャンプシーズンにはバーベキューや川遊びを楽しむ人でにぎわいます。キャンプサイト横を流れる高川川は、石でせき止めたプールになっています。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉と源流ならではの四季が楽しめます。

 

鏡川源流憩いの広場から約5.4㎞

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⑮ 菖蒲洞

 鏡川上流にある「菖蒲洞」は、全長約500mの鍾乳洞で、旧土佐山村の菖蒲にあることから名付けられました。1949(昭和24)年、県の天然記念物に指定されています。洞は東西2室に分かれ、大小の鍾乳石や石筍、石柱が見られ、洞穴を地底川が流れています。洞内は鎖場や背を低くして通る場所があり、探検気分を味わうことができます。また、コウモリなどの動物が生息し、洞口付近からは弥生式土器のかけらが発見されています。普段は文化財保護と安全確保のため洞内に入ることはできませんが、見学を希望される場合は、5日以上前に連絡が必要です。高知市中心地から車で約35分です。

 

【高知市 民権・文化財課】

●問い合わせ:☎088-832-7277
 (8時30分~17時15分)
●公休日:月曜または祝日の翌日(祝日が
 月曜日と重なる場合にはその翌日)
 年末年始(12月29日~1月3日)

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